スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

糸が切れた人形 ~ワルプルギスの夜へ~

「・・・レーゼ、このチラシは?」

その日、外出していたレーゼは帰ってくるなりそのチラシを私に見せた。
どうやら人間と契約を交わしたパートナーによる宴があるらしい。
「お前もずっとここにいるのは退屈だろう?たまには羽を伸ばしてくるといい」
私には彼が何を言っているのかわからなかった。
彼が私に気を使う?そんなことあるはずがない。
ただでさえかつての想い人である少女に酷似していることに嫌悪感を抱いているはずなのに。
だからこそ、私が人形であることを望んだはずなのに・・・
「イライザ・エリスン。お前に数日暇を与える。その間好きにしてるといい」
そう言って彼はその話題を打ち切ってしまった。

あれから数日後。宴の夜を翌日に控えた日。
彼を観察し、気になったことがあった。
これまでは自室に戻ると罪悪感に押しつぶされそうな、苦悶な表情をしていたのだがそれが最近見えない。
むしろ、最近の彼はどこか楽しそうな雰囲気を持っているのだ。
聞けば先日、彼は『でぇと』なるものをしてきたらしい。もっともそれ自体は失敗に終わったようだが。
しかし、考えてみるとその日と彼が変わり始めた日がピタリと重なるのだ。
その日、彼に何があったのかはわからない。だが、もしかすると・・・

「・・・彼の心の中の彼女がだんだん薄れてきている?」

彼の根本には常に死に別れた少女の姿がある。
完全な軍人であろうとするのも、そのために無理をして心をすり減らすのも・・・
私を人形として扱っていたのも、彼女の想いによる影響からである。
それが薄れてきたということは、とんでもない事態である。
なぜならそれは・・・彼の存在そのものが危うくなってきているからである。
たとえどんなに苦しんでいたとしても、その想いが彼をここまで持ってきたことは確かである。
その支えがなくなったとき、彼はどうしてしまうのか。
他に支えが見つかっている場合はいい、その支えが無い場合は・・・

「私が、その支えに・・・?」
とたん、また胸の奥にもやもやとした感情が芽生えた。
ここ数日、夏合宿のあの日から感じているこの感情。
一体この感情が何なのか。私にはわからない・・・
・・・同じ機晶姫に、聞いてみよう。何か答えが見つかるかもしれない。

ワルプルギスの夜は近い・・・
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。